神様のわざとしての自然

緑一色のただなかに、その純白の花を咲かせ、類のない香りを漂わせているさまは6月の自然のなかにとくに心に残るものです。6枚の純白の花びら、中央の薄い黄色のめしべの色合いがその香りとともに見る者の心に、静かに神の国のメッセージを伝えてくれるのです。この花の果実は熟しても口が開かないので、「口無し」という名前になっています。この果実は冬には黄赤色となり、菓子や漬け物などの食品の着色料にもよく用いられ、さらに薬用植物辞典には薬用としても用いられると記されています。

〝今日のみ言葉〟より引用。(写真・文ともT.YOSHIMURA)

6月頃に咲く野草として、好まれることの多い花です。山間の道でときどき出会いますが、この頃は梅雨時なので、山を歩くことは少なく、以前から咲いているところに出会ったのは、そう多くは思い出せません。この花は、野生の花としては、目立つものの一つで、その素朴な美しさには、心惹かれるものがあります。

〝今日のみ言葉〟より引用。(写真・文ともT.YOSHIMURA)

ちょうど6月の梅雨のころに咲いていて、空模様が曇っていても、山を歩いていて時折この花を見つけると、さわやかな気持ちになったものです。野草のうち、青い花、青紫の花は空の青や海の青と同様に、清さと深さを合わせて感じさせるものがあります。なお、この花が終わった後の花穂には、強力な利尿作用があり、膀胱炎に対して用いられ、薬草として知られています。靫草(うつぼぐさ)は花穂(かすい)の形が弓矢を入れる靫(うつぼ)に似ているから。カコソウ(夏枯草)とも言われるのは、花穂が枯れると黒くなるからです。

〝今日のみ言葉〟より引用。(写真・文ともT.YOSHIMURA)